ある日、ラジオをつけていたら、どこか懐かしいメロディが流れてきました。
「ねこふんじゃった」――子どものころに一度は耳にしたことがある、ちょっぴりおちゃめなあの曲です。
調べてみると、なんと2025年6月・7月のNHK『みんなのうた』で、再び放送されているとのこと!
SNSでも「子どもが気に入って毎日歌ってる」「久しぶりに聞いたけど名曲」と話題に。
そんなきっかけから、この曲のことがもっと知りたくなり、いろいろと調べてみたら――
「作曲者が不明?」「世界各国で違うタイトル?」「猫じゃないバージョンも?」と、驚きの連続でした。
今回は、「ねこふんじゃった」にまつわるあれこれをたっぷりとご紹介します。
『みんなのうた』に再登場!世代を超えて愛される理由
「ねこふんじゃった」がNHK『みんなのうた』に初めて登場したのは、1966年のこと。
この時の放送では、天地総子さんと東京放送児童合唱団が歌い、和田誠さんのユーモラスなアニメーションがつきました。
そして、2025年6〜7月に再放送されると発表されるやいなや、SNS等で再び注目を集めています。
「幼稚園の頃を思い出した」「子どもがピアノで弾きたがってる」「和田誠のアニメが好き」など、多くの反響が寄せられました。
昭和、平成、令和と時代を超えて愛される理由は何でしょうか?
それは、シンプルながらも耳に残るメロディと、思わず笑ってしまう歌詞にあります。
▼その他、ねこが登場する「HKみんなのうた」記事はこちら


歌詞とストーリー:ただのふざけ歌じゃない?
実際の歌詞(作詞:阪田寛夫)は歌ネットさんで公開中です。
一部抜粋すると、
ねこ ふんじゃった ねこ ふんじゃった
…
ねこ ふんずけちゃったら ひっかいた
…
ねこ グッバイバイ ねこ グッバイバイ
ねこ あしたの あさ おりといで
なんとも可愛らしいですが、ただふざけているだけではありません。
“「踏んでしまった→謝る→和解する」”という小さなドラマがあるのです。
子どもが自然に「ごめんね」「また仲良くしようね」という気持ちを学べる構成になっていて、情操教育的な要素も含まれています。
また、耳に残るリズムと音の繰り返しは、言葉を覚える子どもたちにぴったりです。
▼「ねこふんじゃった」が、せなけいこのユーモアあふれる貼り絵で、楽しい絵本になりました
作曲者は誰?謎多き「ねこふんじゃった」誕生秘話
「ねこふんじゃった」は、作曲者がわかっていない“匿名のピアノ曲”です。
ヨーロッパでは「Flohwalzer(ノミのワルツ)」として知られており、ドイツをはじめ多くの国でピアノ初心者が最初に覚える定番曲とされています。
ただし、「Flohwalzer」も誰が作ったのかは不明で、「F. Loh(フレッド・ロウ)」という作曲者名が記載されていることもありますが、これは**“冗談(ジョーク)”の可能性が高い**とされます(F.Loh → “Floh”=ノミ)。
つまり、「ねこふんじゃった」は世界中の“誰か”が口伝えで広めていった民謡のような存在なのです。
世界で26か国以上!国ごとに異なる“呼び名”
実はこの曲、世界中でさまざまな名前で呼ばれています。以下のようなユニークな呼び方が!
国・地域 | 現地名(訳) |
---|---|
日本 | ねこふんじゃった |
ドイツ/オーストリア | Flohwalzer(ノミのワルツ) |
ロシア | 犬のワルツ |
スペイン | チョコレート |
フランス | カツレツ |
フィンランド | 猫のポルカ |
メキシコ | 小猿のワルツ |
チェコ | 豚のワルツ |
韓国/台湾 | 猫のダンス |
中国 | 泥棒行進曲 |
英米圏 | Chopsticks(※別曲と混同) |
まるで“音楽の猫”が世界を旅しているかのよう。
国ごとに、身近な動物や食べ物、リズムの印象から、自由に名前がつけられているのが興味深いですね。
「Flohwalzer」って何?ドイツ語の意味と遊び心
「Flohwalzer」はドイツ語で、「Floh=ノミ」「Walzer=ワルツ」を意味します。
なぜ“ノミ”なのかというと、あのピョンピョンと跳ねるようなメロディが、ノミの動きに似ているからだそうです。
音の上下やリズムのせわしなさが、“小さくて素早い虫”を連想させたのかもしれません。
しかも、Flohwalzer には楽譜としての原典が存在せず、口伝えで伝わってきたという背景があり、それもまた「誰でも弾ける・伝えられる」という親しみやすさにつながっています。
弾いてみよう!初心者向けピアノ練習曲としての魅力
「ねこふんじゃった」は、ピアノを習い始めたばかりの子どもにとって、最初に弾く1曲として定番です。
理由はシンプルで、
-
主に黒鍵(♯)を使う
-
右手だけで弾けるバージョンが多い
-
短く、繰り返しが多くて覚えやすい
この特徴から、子どもが自然と鍵盤に親しむには最適です。
最近では、YouTubeなどで「ねこふんじゃった」のピアノレッスン動画も豊富。
▼おすすめの1本はこちら
アレンジ版や派生バージョンも多数!
「ねこふんじゃった」は、シンプルなメロディが魅力であるがゆえに、無限のアレンジが可能です。
たとえば、
-
連弾バージョン(親子や友達と)
-
ジャズ風アレンジ
-
ロックやテクノ風のリミックス
-
歌詞を替えたパロディバージョン
プロの演奏家によるクラシック風の演奏も存在し、アレンジ楽譜も市販されています。
▼マジックピアノ
▼バラード調
▼あの!小原孝さんコンサートでも人気のコーナー「ねこふんじゃった」 (CDと楽譜)
▼オリジナルから「パリのねこ」「オートバイに乗るねこ」までさまざまな「ねこふんじゃった」20曲を収録(楽譜)
▼お洒落な雰囲気や、ジャジーなハーモニー、優雅なワルツ風など、お馴染みのメロディーが多彩な表情で楽しめます(楽譜)
演奏の楽しみが広がる、“育てていける曲”ともいえるでしょう。
映像・ゲーム・SNSでの展開と今後の可能性
2020年代に入り、「ねこふんじゃった」はSNSでも再ブーム。
TikTokで子どもが踊る「ねこふんじゃったダンス」動画や、ピアノ自動演奏アニメなどがバズることも。
また、スマホ向け音楽ゲームや幼児教育アプリでもこのメロディが取り入れられています。
さらにAIボイスで歌わせた「ねこふんじゃった」などもYouTubeで多数公開中です。
▼AIボイスが歌っている動画
昔ながらの曲が、新しい技術と出会って再発見されているのが面白いですね。
Q&A:よくある質問を解説
Q. 作曲者は誰?
A. 不明です。Flohwalzer(ねこふんじゃった)の起源は明確ではなく、口伝えで世界中に広まりました。
Q. 楽譜はどこにある?
A. 無料楽譜サイト「musescore」や「ぷりんと楽譜」などでダウンロード可能です。
▼musescore
Der Flohwalzer(ねこふんじゃった) by K Kobayashi
Q. 何歳から弾けそう?
A. 鍵盤に慣れ始める5〜6歳ごろから弾けることが多いです。まずは右手だけの練習から始めるとよいでしょう。
まとめ:猫を“踏んだ”その先に広がる世界
「ねこふんじゃった」は、ただの子どものふざけ歌ではありません。
作曲者不明の不思議な歴史、世界中で愛される異名の数々、初心者でも楽しめる演奏のしやすさ。
そして、SNSや映像表現との融合によって、新しい魅力が生まれ続けています。
ラジオで偶然耳にしたこの曲が、まさかこんなに奥深い世界を持っていたなんて。
あなたも今度、久しぶりにピアノで弾いてみませんか?
それとも、お子さんと一緒に歌ってみますか?
小さな「ふみふみ」から始まる、大きな音楽の旅が、そこにはあります。
- 弾いたことあるよ!
- このアレンジ動画好き!
みなさんの体験をぜひコメントくださいね。
その他「みんなのうた」の中で「ねこ」が登場する歌は多々あります。
ぜひこちらもご覧くださいね。
▼44ひきのねこ
▼かつおぶしだよ人生は
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